各種不妊治療

人工授精が有効とされる主なケース

• ・タイミング法を試しても妊娠に至らない場合
• ・精子の濃度や運動率に問題がある場合
• ・勃起障害、性交障害、セックスレスなどの理由で性交が難しい場合
• ・抗精子抗体が中等度陽性の場合
• ・はっきりとした不妊原因が見つからない場合（原因不明不妊）

人工授精の流れと特徴

排卵誘発を併用する場合の注意点

体外受精（IVF）

体外受精は、女性側または男性側の原因により自然妊娠が難しい場合に行われる高度生殖医療です。

卵子と精子を体外で受精させ、育った受精卵（胚）を子宮に戻すことで、妊娠の成立を目指します。体外受精を行うにあたっては、排卵のコントロールや採卵など事前の準備が必要となります。

■体外受精の6ステップ

➊排卵の抑制・調整

次の周期に向けて、ホルモン治療を用いて排卵のタイミングをコントロールします。 治療法には「ロング法」「ショート法」「アンタゴニスト法」などがあり、患者さまの体調や卵巣の状態に合わせて選択します。

❷排卵誘発（卵胞を育てる）

排卵誘発剤（クロミフェン内服またはhMG注射）を使って複数の卵胞の発育を促します。使用する薬剤の種類や投与量は、患者さまの卵巣の反応を見ながら調整していきます。

❸採卵・精子の準備

卵胞が十分に育ったタイミングでhCGという注射を行い、翌々日の朝に採卵を行います。精子は、同じ日にご持参いただくか院内で採精していただき、体外で受精させます。

❹受精卵の培養

受精後、5日間を目安に受精卵を培養します。胚の状態や治療状況に応じて、胚盤胞（5日目）まで育てる場合もあります。

❺胚移植（受精卵を子宮に戻す）

通常は3日目（初期胚）または5日目（胚盤胞）のタイミングで胚移植を行います。日本産科婦人科学会の指針により、35歳未満の初回・2回目の移植では原則1個までとされていますが、状況によっては2段階移植を行う場合もあります。

❻受精卵の凍結保存

移植しなかった余剰胚は凍結保存し、次回以降の治療に活用できます。

当院の体外受精の方針

体外受精の成功には、質の高い受精卵（グレードの良い胚）を得られるかどうかが大きく関わります。

当院では、患者さまの年齢・卵巣機能・治療歴などをもとに、最適な方法を選択しながら進めていきます。また、経済的なご負担にも配慮しつつ、無理のない範囲で進められるようご提案いたしますので、不安なことやご不明点があればいつでも医師にご相談ください。

顕微授精が適しているケース

• ・乏精子症（精子の数が少ない）
• ・精子運動障害（精子がうまく動かない）
• ・抗精子抗体が陽性の場合（免疫反応により精子の働きが妨げられる）
• ・通常の体外受精で受精卵が得られなかった症例

こんな方におすすめです

• ・凍結融解胚移植を受ける方
• ・年齢が高め（主に35歳以上）の方
• ・透明帯が厚い/硬いと診断された方
• ・過去に移植後の着床がうまくいかなかった方

アシステッドハッチングを行うことで、胚が透明帯からうまく脱出できる可能性が高まり、着床率の向上が期待できます。

二段階胚移植

二段階胚移植は、まず初期胚（受精から3日目の胚）を子宮に移植し、子宮内の環境を整えた後、5日目の胚（胚盤胞）をあらためて移植する方法です。

この2回に分けた移植により、子宮内膜が着床しやすい状態になり、妊娠の成立率が高まると考えられています。

特に、着床がなかなかうまくいかない方や、移植を繰り返しても妊娠に至らなかった方に対して、着床率や妊娠率の向上が期待できるアプローチです。

■リスク・注意点

二段階で2つの胚を移植するため、両方の胚が着床した場合には、二卵性の双胎妊娠(双子)となる可能性があります。排のため、実施にあたっては医師と相談のうえで、慎重に判断する必要があります。

PICSI(生理学的精子選択術)

■PICSIのメリット

・受精率・妊娠率の向上が期待できる

・流産リスクの低下に役立つ可能性がある

・精子のDNA損傷率が低いものを選びやすくなる

・過去に顕微授精でうまくいかなかった方にも新たな選択肢に

当クリニックでは、必要に応じてPICSIを併用し、より自然に近い方法で妊娠の可能性を高める治療をご提供しています。 顕微授精の回数が増えている方や、移植後に流産が続いてしまった方など、お気軽にご相談ください。

SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)

フローラ検査

フローラ検査は、子宮内に存在する善玉菌「ラクトバチルス菌」の割合を調べる検査です。この菌は、子宮内環境を良好に保ち、受精卵の着床や妊娠の維持に重要な役割を担っているとされています。

子宮内のバランスが乱れ、ラクトバチルス菌の割合が少なくなると、着床しにくくなったり、妊娠しても流産や早産のリスクが高まる可能性があることが近年の研究でわかってきました。

子宮内膜スクラッチ

産み分け(MicroSort法)

当院では、MicroSort(マイクロソート)という技術を用いて、精子をX精子(女の子)とY精子(男の子)に選別し、治療に活用することが可能です。

この方法は、精子に含まれるDNA量のわずかな違いをもとに精子を分類するもので、産み分けを希望される方にとって有効な手段のひとつです。選別された精子を用いて人工授精または体外受精を行うことで、お子さまの性別を希望に近づける確率を高めることができます。

卵子凍結とは？

将来の妊娠に備えて、若く健康な卵子を卵巣から採取し、凍結保存しておく技術です。

女性が一生のうちに持っている卵子の数には限りがあり、加齢とともにその数も質も自然に減少していきます。中には、年齢に関係なく卵子の数が少ない方もいらっしゃいます。

■40歳を迎えた未婚の女性

今はご結婚の予定がないものの、将来的に子どもを望みたいと考え、妊娠の可能性を残すために卵子を凍結されました。

■30代/既婚女性で海外赴任を控えた方

これから数年間の長期プロジェクトで海外勤務が決まっており、仕事が落ち着いたタイミングで妊娠を目指せるよう、事前に卵子を保存されました。

■病気の治療を控えていた女性

治療による卵巣機能への影響を心配され、「妊娠できる選択肢を残しておきたい」という思いから凍結保存を決断されました。

■20代/未婚で排卵誘発に成功した方

もともと卵巣にほとんど卵子がない方でしたが、偶然にも排卵誘発に成功し、排卵が目前に迫ったため、緊急的に卵子を保存されました。

卵子凍結の費用について