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子宮内膜症

子宮内膜症

子宮内膜症とは

子宮内膜症

子宮の内側を覆う膜を「子宮内膜」といいます。子宮内膜は卵巣から分泌される卵胞ホルモンのはたらきで厚くなり、妊娠が成立しなかった場合には約2週間後に剥がれ落ちて体の外へ排出されます。

これが毎月の月経(生理)です。

子宮の両側には卵管という細い管があり、月経の際に剥がれた子宮内膜(経血)の一部は腟から排出されるだけでなく、卵管を通ってお腹の中(腹腔)に逆流することがあります。通常は免疫の働きによって自然に処理されますが、まれにその内膜が腹腔内に残って増殖や出血を繰り返すことがあります。

このように、本来子宮の中だけにあるはずの子宮内膜が子宮以外の場所で増えてしまう状態を「子宮内膜症」といいます。

子宮内膜症の起こる部位

卵巣

子宮内膜症は、子宮の外でも発生することがあります。特に多いのが卵巣です。

卵巣に子宮内膜が入り込むと、そこで増殖や出血を繰り返し、血液が溜まって卵巣が腫れてしまうことがあります。これを「卵巣子宮内膜症性嚢胞」と呼びます。

溜まった血液は時間が経つと酸化し、チョコレートのような茶色い状態になるため、一般的には「卵巣チョコレート嚢胞」とも呼ばれています。

ダグラス窩などの腹膜

お腹の中の臓器を包む膜を、腹膜(ふくまく)と呼びます。本来はとても柔らかく滑らかな膜ですが、腹膜の表面に子宮内膜が発生すると、次第に分厚くなり、ひきつれが起こります。

進行するとゴムのように硬くなり、普段は離れている臓器や器官までもが癒着してしまうことがあります。このような状態を「深部子宮内膜症」と呼びます。

特に注意が必要なのは、子宮の後ろと直腸の間にある「ダグラス窩」です。ダグラス窩は骨盤の中で最も低い位置にあり、月経血が逆流して溜まりやすいため、子宮内膜症が発生しやすい部位です。

■深部子宮内膜症がダグラス窩に及ぶと、
  • 強い月経痛
  • 重い性交痛
  • 排便時の痛み
  • 慢性的な腹痛や腰痛
  • 脚のしびれや痛み
  • など、生活に大きな支障をきたす症状が出現することがあります。

    腸管、膀胱などのお腹の中の臓器

    ■腸管(特に直腸)

    直腸は肛門の手前にあり、便をためる役割を持つ場所です。子宮と直腸は隣り合っているため、子宮内膜症があると癒着を起こしやすく、直腸に病変ができることは珍しくありません。

    症状としては、月経中に便が出にくくトイレで苦しむ・血便が出るといったものが代表的です。また、腸の上流である小腸に内膜症ができるのは稀ですが、月経時に腸がつまるように感じてお腹がパンパンに張り、嘔吐を伴うことがあります。

    ■膀胱

    膀胱に子宮内膜症ができると、月経中から月経の終わり頃にかけて強い排尿痛が出るのが特徴です。さらに、膀胱の内側の粘膜まで病変が広がった場合には、月経時に尿が真っ赤になる(血尿)こともあります。

    腹壁、胸腔など

    ■腹壁

    おへそやそけい部(脚のつけ根から恥骨の前あたり)に子宮内膜症が発生することがあります。月経のときにポコッとした腫れ物ができる、あるいはおへそから出血するといった症状が見られます。

    ■胸腔

    胸腔は肺がおさまっているスペースで、ここに子宮内膜症ができると月経時に気胸(肺に穴があき空気が漏れる状態)を起こし、息苦しさを感じることがあります。非常に稀なケースではありますが、胸腔内子宮内膜症として知られています。

    子宮腺筋症について

    子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)は、本来であれば子宮の内側にしか存在しない「子宮内膜に似た組織」が、子宮の壁の中(筋層)に入り込んでしまう病気です。この組織は月経の周期に合わせて増えたり出血したりするため、放っておくと子宮がだんだん大きくなり、月経の出血量が増えるだけでなく、生理痛も強くなっていきます。

    さらに、子宮が大きくなることで妊娠に影響を与えることもあり、子宮内膜症と一緒に起こることも少なくありません。

    子宮腺筋症の検査

    子宮内膜症が疑われる場合、以下のような検査を行います。

    検査名 特徴 確認できること
    内診 婦人科の基本的な診察。医師が手で子宮や卵巣を触れて確認します。 子宮や卵巣の大きさ・形・しこりの有無、圧痛(押したときの痛み)など
    血液検査 腫瘍マーカー(CA125など)を測定。採血で行うため体の負担が少ない。 子宮内膜症の可能性や進行の程度を推測(確定診断には不十分)
    超音波検査(エコー) 腟から細い器具を入れて行う画像検査。痛みは少なく短時間で終了。 卵巣チョコレート嚢胞の有無・大きさ、子宮の状態

    子宮内膜症の治療法

    子宮内膜症の治療法

    子宮内膜症や子宮腺筋症は、月経と排卵を繰り返すことで少しずつ進行していく病気です。研究では、初経(最初の生理)の年齢が早い方や、若い頃から生理痛が強かった方は、子宮内膜症を発症するリスクが高いことも分かっています。

    進行を抑えるためには、薬による治療(薬物療法)がとても有効です。ただし、どの薬が合っているかは、症状の程度や年齢、妊娠の希望があるかどうかなど、ひとりひとりの状況によって異なります。

    そのため、医師とよく相談しながら、自分に合った治療法を一緒に選んでいくことが大切です。

    子宮内膜症が進行したら

    卵巣チョコレート嚢胞が大きい場合には、当院では穿刺術行うことができます。これは、後述の手術に比べて卵巣の健常部位が温存されるため、将来の妊娠希望に有効です。

    さらに、強い痛みなど症状が増悪し、薬での治療が難しい場合には手術を検討することがあります。

    当院では、手術を検討される方には十分な時間を確保し、丁寧にご説明いたします。必要に応じて、適切な医療機関へのご紹介も行っていますのでご安心ください。

    診療時間

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    9:00~12:30 初診・再診 初診・再診 初診・再診 初診・再診 初診・再診 初診・再診 予約再診のみ 休診
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    :17:00まで

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    ※診療受付は終了30分前までです。
    ※日曜日は体外受精、人工授精のみ完全予約制です。